会社員時代の経験はある。
でも、独立したら何を売ればいいのか分からない。

そんな状態から、法人2社と合計1,620万円の契約を結んだのが、松尾さんです。

松尾さんは当時57歳。会社員時代は、広告関連の仕事でシステムやマーケティングに携わっていました。

独立に向けて十分に準備していたわけではありません。急な退職で収入への不安を抱え、前職との契約上、同じ業務はできないという制約もありました。

そこで、11月初めにAI自動集客(Zoom集客の学校)で学び始め、新しい商品を考え、12月には契約につなげたそうです。

何をしたのでしょうか?

大きな転機は、相談相手の話を聞くうちに、最初に用意した商品とは違う支援が必要だと分かったことでした。

この記事では、その過程を4つの手順に整理します。

1.会社員時代に「解決してきたこと」を商品にした

会社員時代の経験を書き出し、商品案を整理する場面のイラスト

松尾さんが最初に考えたのは、オンライン物販で売上を伸ばすための支援でした。

会社員時代に身につけたマーケティングやシステムの知識を、中小企業の経営者に提供しようと考えたのです。

ここで参考になるのは、これまでの経験を、相手が必要とする支援へ組み直したことです。

読者の皆さんも、まず次の3つを書き出してみてください。

① 職場で、よく相談されたこと。
② 自分が関わって改善したこと。
③ 同じ問題で困っていそうな人や会社。

例えば、部下への教え方、業務の引き継ぎ、顧客対応、資料作成、社内システムの使い方。

「人に教えられるほどではない」と感じることでも、実際に誰をどう助けたのかまで具体化してみます。

商品案は、次の1文にまとめます。

「私は、〇〇で困っている人に、△△の経験を使って、□□を進める支援ができます」

この段階では仮の案で十分です。松尾さんも、相手との会話を通じて内容を変えていきました。

2.「売上を上げたい」の奥にある問題を聞いた

経営者の話を丁寧に聞き、課題を整理する相談場面のイラスト

経営者の要望は、売上を上げたいというものでした。

しかし、話を深く聞くと、具体的な課題が見えてきました。

・組織がうまく動いていない。
・部下が思うように動いてくれない。
・社内のITリテラシーが低い。

必要だったのは、オンライン物販の方法を教えることだけではなかったのです。

売上を伸ばす施策を実行するために、社内で解決すべき問題がありました。

松尾さんは、その事情を聞き、自分が対応できる支援を提案していきました。

ご自身がお客様の相談を受けるときも、次の順に質問すると整理しやすくなります。

① 今、いちばん実現したいことは何ですか?
② それを進めるうえで、どこが止まっていますか?
③ 最近、具体的に困った場面を教えていただけますか?
④ これまで何を試し、どこが難しかったですか?
⑤ 何が変われば、前に進めそうですか?

これは、松尾さんの取り組みを応用した質問例です。

質問を順番に読み上げるより、相手の答えに沿って話を深めてください。答えづらそうな内容を、無理に聞き出す必要はありません。

3.過去の経験を「この人なら相談できる」という信頼に変えた

松尾さんは、自分が経験した成功事例と失敗事例を、話せる範囲で伝えていました。

何百もの企業と関わってきた経験から、何がうまくいき、どこでつまずいたのかを説明したそうです。

例えば、組織の問題で悩む相手に、肩書きや経歴だけを並べても、その人の課題とのつながりは伝わりにくいものです。

そこで使えるのが、次の伝え方です。

「以前、似た状況がありました。
そのときは〇〇が問題になっていました。
△△に取り組んだ経験があるので、今回もその部分から一緒に整理できます」

実際に経験した範囲で、相手の悩みに関係する話を選びます。

守秘義務のある情報や、前職の機密を出す必要はありません。

松尾さんが振り返って語っていたのは、心から相手の悩みを受け止めることの大切さでした。

話を聞きながら、自分が売ることだけを考えるのではなく、相手がどんな状況にいるかを理解する。

その理解を、自分の経験と結びつけて伝えていました。

4.聞いた課題に合わせて、支援内容を組み直した

松尾さんは、詳しく話を聞く場を設け、2時間のうち約1時間半を相手の話を聞く時間に、残りの約30分を提案に使ったと説明しています。

これは、すべての商談を2時間にすべきという意味ではありません。

大切なのは、課題を理解する時間を確保したことです。

そして、相談で分かった問題に対して、自分ができることを具体的に伝えました。

業務改革や組織の問題まで含め、対応できる支援を組み合わせるうちに、当初の商品とは違うパッケージになったそうです。

相談後の提案は、次の5項目にまとめると実践しやすくなります。

① 現在、どんな問題が起きているか。
② まず何を改善する必要があるか。
③ 自分は何を、どこまで担当するか。
④ 相手には何に取り組んでもらうか。
⑤ 支援期間と費用はいくらか。

例えば、ITの活用が進まない会社なら、ツールの紹介だけでなく、現状の確認、業務手順の整理、担当者への説明、運用後の見直しまでが必要かもしれません。

ただし、できることだけを提案します。

松尾さんも、社長の望むことをすべて叶えられるわけではなく、自分が対応できる範囲を伝えていたそうです。

最初の1件に向けて、今日できること

松尾さんの経験を、ご自身の仕事に取り入れるなら、次の順で進めてみてください。

① 過去に解決した仕事上の問題を3つ書く。
② その経験が役立ちそうな相手を1人考える。
③ 相手の了承を得て、困っていることを聞く。
④ 自分が支援できる範囲を整理する。
⑤ 課題・支援内容・期間・費用をまとめて提案する。

AIは、この整理を手伝う道具として使えます。

個人名・会社名・機密情報を除いた相談メモを渡し、例えばこう頼みます。

「このメモから、相手の目標、現在の課題、追加で確認すべき点を整理してください。私が提供できる支援は以下の通りです。対応範囲を超える提案や、メモにない事実は追加しないでください」

これは、読者の皆さんへの活用提案です。松尾さんの契約がAIによって生まれたという話ではありません。

松尾さんが実践したのは、学んだことを相談の場で使い、助言を受けて修正し、相手の課題に合う提案へ仕上げることでした。

会社員時代に積み重ねた経験を、誰の、どんな問題の解決に役立てられるか。

そこを具体化するところから、ご自身の仕事づくりを始めてみてください。

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※成果には個人差があり、成果を保証するものではありません。